障害福祉事業所のデジタル化に伴い

システム導入を検討すべき事業所指標

  • 3事業所以上の運営をしている(または計画中)
  • 利用登録者数が30名以上いる
  • 毎日の業務に追われている

社会全体のデジタル化に伴い、障害福祉事業所でも様々な業務への取り組み方への見直しが要求されています。

今まで紙ベースで管理していたものを、パソコンを使って作成することが当たり前になっていますが、それだけでは根本的な業務改善に繋がっていないことがほとんどです。

実際にどういった業務を見直し、何から始めれば良いのか、そういった改善案を私たちの経験を元にご紹介します。

システム化すべき業務とは

どの業務をシステムに置き換えるかは、大きく2つのポイントに絞り抱えている業務について考えていきましょう。

  • 紙ベースの業務
  • 複数システムで管理している業務

ExcelやWordの普及により、どの事業所も紙単体で執り行っている業務は少なくなってきています。

しかし、作成した書類を印刷してファイルへ入れて管理したり、元データとなるExcelやWordをフォルダ分けして管理したりしていれば、それだけでは仕組み化されているに過ぎず、システム化されているとは言えません。

複数システムで管理する業務にあたっては、連絡手段として便利なLINEなどを活用していても、そこへ届いた利用希望やシフト変更を別のカレンダーアプリなどで管理していては、人的エラーも発生してしまう原因となり、規模が少しでも大きくなれば限界になります。

では、具体的どういった業務がシステム化できるのか、実際にあった一例を見ていきましょう。

支援計画の作成

利用するにあたって必要な支援計画の作成や管理は、システム化させることで大幅に業務負担を減らすことに繋がります。

他にも月次の評価や業務日誌など、事業所や提供サービスによっては定期的に作成しなければならない書類が沢山あります。システム管理することで、何が抜けていて、何から取り掛からなければならないかが明確になり、作成漏れや末日になって業務に追われることがなくなります。

システムに利用者ログイン機能を併設させれば、わざわざ印刷して修正のたびに利用者さんへの確認を求める手間もなくなります。最終確認ではシステムから印刷した用紙に押印や自署によるサインをいただくだけで良く、これにより利用者さん側の負担軽減にも繋がります。

従業員とシフトの管理

福祉関係の仕事においては、従業員管理においても負担が大きい業務の一つです。従業員情報の電子化だけでなく、シフト管理や連絡等においてもシステム管理しておくことで、伝達漏れや日々の業務負担の軽減に繋がります。

出勤日や時間を登録しておくことで、時間のかかる給与計算などもシステム化させることができます。外部へ委託せず事業所で取り組んでいる場合は、これらをひとまとめにすることで全体的な業務改善にも役立ちます。

運営事業所数が多く雇用スタッフが10人以上いたり、非常勤スタッフが多く日々のシフト管理に追われていたりすれば、これを目的にシステムの導入をオススメしています。

利用予約と実績の登録

通所サービスでは利用日の管理が複雑になりがちです。急遽空いた枠を利用者さんへ通知しても、その管理が難しく定員数を維持することができず、業務負担だけが増えてしまっているケースも少なくありません。

システムにより利用予約が利用者側で登録できるようになれば、管理がしやすくなるだけでなく、空き枠が出た際の通知等もシステムを通じて簡単にできるようになります。その結果、複雑な業務負担がなくなり、空き枠状況も的確に利用者さんへ共有しやすくなります。

利用日の管理ができると、それが実績の管理にも繋がります。月初めになると、先月どの人が何日利用したかチェックする業務に追われる事業所がほとんどです。予約からシステム管理しておくことで毎日の入力やチェック作業を減らせるだけでなく、請求漏れや不正請求を防ぐことにも繋がります。

何から取り組むべきか

システム化しようにも、何を依頼すれば良いかわからない?

まずは現状を把握、何が負担となっているか明確にしましょう。

場合によっては、わざわざシステム会社にスクラッチ開発を依頼せず、既存のパッケージを導入すれば足りることも考えられます。

スクラッチ開発

製品を開発する際に、すでに存在する何かを土台とせずにゼロから新たに作り上げること。

https://e-words.jp/w/スクラッチ開発.html

改善できそうな業務の見直し

まずは、どういった業務を改善すべきかリストアップすることから始めてみてください。

普段抱えている業務で、特に時間がかかっているものや、単純作業を繰り返しているものを書き出してみてください。書き出す際のコツは、遠慮せず些細なことでも箇条書きにしていくことです。

集まってくると、どういった業務に追われているのかがはっきりするだけでなく、誰の負担が大きくなっているのか、どこでミスが誘発しているのかも見えてきます。

頭の中でわかっているだけでは、いざ依頼する際に上手く伝えられず、思っていたシステムと違っていた、目的だった業務改善になっていない、となってしまうことも考えられます。そうならないためにも、問題を文字化させて置くことは非常に重要です。

可能であれば、経営陣や管理者だけの意見ではなく、できるかぎり現場とも話し合いをした上で問題点をまとめるようにしましょう。そうすることで、よりシステム化すべき対象がはっきりとします。

中長期的な事業計画の策定

問題点が浮き彫りになれば、システム開発を依頼するのと並行してしっかり事業計画も立てておきましょう。すでに事業計画があれば、システムを導入することでの変更点などを追記した上で見直しすることが大事です。

システムの導入など、事業の基幹を担う変更が伴う場合、中長期的にどうしていくか定めておくことが、今後の方針のブレを防ぐ上でも重要なポイントです。計画段階では予測や理想であっても、数ヶ月、数年した際の現状把握と状況分析に役立ちます。

せっかく業務を改善させるため、または事業所数を増やし規模を広げていきたいと考えて導入しても、思ったように進んでいなければ使い方やシステムそのものを見直す必要があるかも知れません。そういった失敗を回避するためにも、今後の計画はしっかりと立てておきましょう。

積極的な相談と見積もり

システムを導入する上では、どれだけ調べて考えていてもわからないことが多いのが普通です。なので、積極的に問い合わせで相談して、見積もりをとって色んな会社を比較してみることをオススメします。

何をシステム化したいのか、漠然と伝えるだけでもシステム開発会社の大半は様々な提案をしてくれます。導入方法も様々で、大抵は依頼した開発会社の得意とする方法での提案になるため、見積り金額も会社によって大きくことなります。

私たちにお問い合わせ頂いた際には、事業所がどういった問題を抱えており、システムの導入を検討しているのかを明確にした上で、最善かつ必要な提案をすることを心掛けております。

他の開発会社に依頼する場合においても、前項で取り上げたように事業所で抱えている問題点が何なのか伝えられるよう明確にしておけば、余計な費用や時間をかけることを減らせます。

予算にマッチしているかどうか、内容は的確か、自分たちの意図を理解してくれているか、これら全てを検討した上で依頼先を決めるためにも、気になった会社には積極的に問い合わせをしてみてください。

具体的な費用対効果

最後にシステム導入後の具体的な費用対効果についてもご紹介します。これがなければ、導入した上での事業計画が立てられませんね。

システムを導入する上では、初期費用とランニングコストが発生します。それに見合った利益の増加とコスト削減ができるかどうかが重要となります。

複数事業所の展開

まずは、利益増加という観点から見てみましょう。

現在抱えている業務をシステム化するだけでは、得られる利益は定員管理等による微々たるものでしかありません。しかし、中長期的に見れば事業所展開を視野に入れられるなど、大きな利益へと変換することができます。

障害福祉サービスを運営する上で大切なことは、利益を追い求めるよりもサービスの充足や利用者さんに喜ばれることが強調されます。しかし、良いサービスを提供し続けるためには利益が出て事業を長く続けられることが前提条件となります。

  1. 業務をシステム化する
  2. システム化により事業所展開がしやすくなる
  3. 事業所運営・管理の方法が確立することで費用対効果が高くなる
  4. 結果的に利益へと繋がり、サービスや従業員待遇の質が向上する

導入したシステムは、事業所数が増えれば増えるほどその効果を発揮します。結果的には十分な利益が発生し、従業員への待遇が上がれば離職率も減り採用や教育にかけていた余計なコスト削減にも繋がります。

将来的に、複数事業所の展開を計画している方にとって、システム導入はなくてはならないものなのです。

残業0を目指す

コスト削減という観点で見れば、業務負担の軽減による残業ゼロを目指すことに、システム導入は大きく役立ちます。

福祉の業界では人員配置の基準が設けられており、一定の人経費は必ずかかります。大抵はその時間内で支援計画など全ての業務が片づけられず、残業や追加の事務職員といった人経費が圧迫してしまいます。

システム化することにより、支援計画などの書類作成や予定の管理にかかっていた時間を大幅に削減できるだけでなく、今まで定期的に発生していたミスを減らすなどイレギュラーな業務も無くすことにも繋がります。

結果的にこういった業務過多による不満解消や、スタッフの待遇改善が離職率の低下に反映され、事業所の安定と質の維持につながり、利用者さんが安心して通える・利用できる事業所が実現します。

実地指導への対策

書類をシステム管理することは、実地指導などの対策にも繋がります。過去に作成した書類の振り返りや必要年数分を揃えるのは、紙ベースでの管理やExcelやWordファイルでの保管では容易なことではありません。

管理体制がずさんだと、書類は作成されていても見つからなかったり、場合によっては紛失してしまっていたりするケースもあります。そうならないためにも、システム化させて管理体制とセキュリティの強化、かつ振り返りがしやすい状態を維持し続けることが今後より重要視されます。

実地指導で指摘されることの大半は、日付の漏れや押印の不備、または必要書類の不足といった些細なミスだったりします。日頃から入念にチェックをしていても、その業務負担からカバーしきれないのが寧ろ当然なことです。

そういった正しい運営をより強固なものにするためにも、事業規模と将来的な計画を踏まえた上で、業務のシステム化と導入を、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

ご相談・お見積り